2003年07月10日

Inventions - That Will Change the World

ニューズウィーク・インターナショナル(C)ニューズウィーク英語版 June 30, July 7, 2003

P.34 Single Vision (6/21-6/23の世界経済フォーラムでのレポートの焼き直し)
独立系発明家の歴史は Leonard da Vinci にまで遡るんだけど、グローバル化や企業の統合合併なんかで世界が均質化に向かう昨今でも、むしろそれらの弱さを逆手にとって、独立系発明家は健在だ、実際これまでも偉大な発明って戦争のときとか逆境のとき生まれてる、ってこと。そういう発明家を理解するために、まずは発明のライフサイクルを検証している。

1)クエスチョンマーク期。まだお金は生まない。特許の段階。
2)競争期。ライジング・スター。公表されることで、アイデアを盗まれる恐れも。デマンド上昇、サプライ稀少な、ビッグプレミアム。
3)金のなる木期(cash cow)。成熟期。賞を受賞後、お金儲けの得意でない発明家個人は研究所におとなしく戻ったりするわけ。そしたら狡猾なMBAホルダーが(笑)事業拡大してくれる。でもそうなるとただデカいだけでもはやスターではなくなる。例えば、皿洗い機。
4)負け犬期。ここでは二つの道が待ってる。1:死語になる。2:誰でもコピーできるくらい普及する。コモディティ化するので、この時点でROIが崩壊する。

クエスチョンマークやライジング・スターに賭けるなら、自分たちの金のなる木を殺すか食っちゃわなきゃいけない。成熟期になると発明だけではなくまわりの機能も組織も成熟してくる。航空業なんかはいい例。航空業は、最初、1が長かった。その後、軍が補助金を出して成長、ジェット機の登場とともに3に突入した。しかし今では航空券価格もコモディティ化し、価格が暴落、鉄道並に。他の産業と違って航空業だけは発明が稀少で、軍関係が引き続きやってる。じゃあその後、発明家はどこ行っちゃったかというと、航空業の代わりにシリコンバレーでチップ作ってるってわけ。

おもしろいことに、斜陽な航空業とドットコム起業家との間には妙なつながりがある。なんと今やットコム起業家は航空業を自分たちのおもちゃ代わりにしてる。Microsoftの Rutan 、Amazon のBezos、PaypalのMusk 等が衛星や飛行機の事業を始めようとしたり。これらの事業は従来の起業と異なり、ひょうっとしたらライジング・スターになるかもしれないもの。art for art's sake(アート至上主義)ならぬ、techno for techono's sake で実用にならないからこそ美しいって美学かも。

で、解読されない暗号を発明する Quantum Cryptography, 赤ん坊の遺伝子治療をする Designer Babies, 乾いた大地に雨を降らせる Rainmaker など、10 inventions (that will change your world) が紹介されている。世の中テロとかバブル崩壊とかって大きな流れで、現在、テクノロジの空白地帯とか揶揄されてるけど、小さな独立系発明家は健在だ、ということ。

・・・わー、航空業とドットコム起業家ってWongさんみたいだ。遍くエンジニアを魅了し続ける2つの産業なんだなあ。ところで、私のカウンセラー・VNCの使う最大の誉め言葉は「RENAISSANCE PERSON」。Leonard da Vinci のような多彩かつ時代を先読みな idea fountainな人をさす、らしい。 頭のバルブをひねったら、特許ネタがいっぱい出てきたらいいのにぃー! でもそれだけではだめ。お金のなる木に育てる素養が必要。発明はlong term vision、事業化はshort term cash flow。この異なる二つをうまく循環させるには?

Posted by riko at 2003年07月10日 22:20 | TrackBack
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Posted by: aska on 2003年10月08日 09:43
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