2003年12月20日

Hillary Rodham Clinton(C) Living History

Hillaryが心から国を愛する一アメリカ人であり、ひとこと余計って揶揄されるくらい弁の立つ有能なな一弁護士であり、でも生き方や家族に迷いも持つ一女性だってこと。世間では次期大統領選の選挙運動の一環だとか言われるけど、いいじゃない。ベイビーブームだったアメリカに Hillary Rodham Clinton が生まれてから、ファーストレディとしてWhite House を去るその日まで、アメリカの歴史=Hillaryの歴史としてHillaryがいつ、何を、どう感じてきたかが生き生きと描かれている。what, when, whereをchronologicallyに読み進め、その時代をリアルタイムに体験した方は自分の記憶とシンクロさせるもよし。また、who, how, whyにフォーカスして、Hillaryの人柄に触れるもいいと思う。彼女が大切にしている、America, childcare, healthcare, women, family...への思いがよくわかる。私の独断と偏見で選ぶ見どころはコチラ。

民主党派の母、共和党派の父を持ち、両親の幼少時の悲しい思い出を聞いて育つ。HarvardとYaleの大学院に合格するが、カンジの悪いHarverdをけって(P.38)、69'に Yale Law Schoolに入学する。その間移民の子供たちのキャンプを訪問したり児童心理を勉強したりと、子供と法の問題に精力的に取り組む。Yaleの図書館で初めてBillに出会ったときの感想は、「バイキング」( GQ Japan NO.02 7月号でも質問されてたよね。)。写真を見れば分かりますが、確かにこのころのBillはワイルド、Hillaryは強烈な瓶底メガネ姿・・・。このひと絶対社会人デビューだ・・・。風邪の看病をしてもらった日からBillにだんだんと惹かれていくようになります。このときBillが持ってきたのは、チキンスープとオレンジジュースね。(P.53)(※余談ですが、私の場合はおでんとみかんゼリーだ。そんなこともあったなあ(遠い目))

このころ、Hillaryは(彼女ですら)自分の生き方を模索しています。Billとの結婚のこともそうです。母の両親の離婚による苦しみが胸に焼き付いていて、自分もそうなっちゃうんじゃないかって不安だったから(P.61)(※余談ですが、私もわかるなー、その気持ち。)。彼は大統領以外の何者でもなく、彼は彼のゴールを定めて、その中のひとつが私のことだった(P.61)、ってくだりが印象的。Hillaryは子供の代弁者になりたいという気持ちは変わらず持っていた(P.54)。卒業後ようやく二人は結婚するわけですが、Billほど私のことをわかってくれて、私を笑わせてくれる人はいない、Bill Clintonというひとと71'からおしゃべりを交わすようになって、30年以上たった今も尚、私たちはおしゃべりをし続けている・・・ って最後のシメが上手い!

'92、ついにClinton政権発足で、Hillary、ファーストレディになる。そしてSmithsonian博物館に展示される。(P.119)(ファーストレディは代々スミソニアンに展示されるの。※余談ですが私が'01にスミソニアンに行ったときは、そこにブッシュ夫人が加えられていた。ショップで、ケネディ・ファミリー、クリントン・ファミリー、ブッシュファミリーなどの着せ替え人形を買って帰った。)
(Clinton政権中、最も力を注いだHEALTH CAREについては(P.143)のちほど・・・)
'95、オクラホマで爆破テロが起こったときHillaryは官庁職員の幼い子供たちにこう語りかけた。あなたがたに知って欲しいのは、あなたがたのご両親はみなあなた方を愛しているということ、何としてもあなた方を守りたいということ、そして、世の中には、邪悪な人たちの数より善良な人たちの数の方が勝るということです、と。

演説も聞き応えアリ。'96のシカゴの演説ではブルブル震えながらも、It takes a family, it takes teachers, it takes all of us, it takes a village, it takes a President who 自分の子供だけでなくアメリカ国家という家族の子供を担っていける人物, it takes Bill Clinton.(P.376)希望という名の場所、アメリカという名の場所をBillが信じているのと同時に、Hillaryも信じている。(P.377)また、別の演説では、現代社会に必要な機能は三つ、効果的に機能する政府、経済の自由市場、活気のある市民社会である、と述べている。(P.447)

そんな中、やっぱり有名税っていうか、ときどきプライバシーを侵害されることもあり、(Jacqueline K. Onassisとも話してるけど)、Elenor Rooseveltの言葉を借りると、政治家の妻たちは サイの背のような丈夫な皮を身につけるようにならなければならない、と。(P.443)まもなく、とんでもないことが起こる。かの有名な、"inappropriate intimacy"事件である。(P.446)(お待たせしましたーっ! GQでも、このテの質問は二度と答えたくないので、この本を読め!とHillaryは答えてたね。読みすすめていって、最初に受けた衝撃とか、感情の抑制とか、感情の変化とか、案外ツクリモノじゃなく正直に書いているように思えた:-))一生懸命信じようとするのだけど、口から出てくる言葉は、激しく長いやじる言葉であったり(P.469)、同様の体験をした友人に話を聞いてもらったり、完全な人間なんていないんだよ、って言葉に励まされたり(P.470)。Hillaryなりにすごく苦しんだんだと思う。最後には、小さいころからの牧師の説教 "You Are Accepted" で罪と恵は相互作用(sin and grace through life in constant interplay)ということに心を傾ける(P.470)。

また、国連会議に出席していたNelson ManderaがWhite Houseに立ち寄り、Billにこういった。倫理観は我々の友情を決して干上がらせるものではないよ、と。HillaryもManderaにBillを許すことができるなら、私にも出来ないことではない、と、苦しみに立ち向かおうとする。(P.480)また、Hillaryファンからの励ましのお便りに、何故Hillaryが夫を支持し続けようとするのかをファンはわかっているのだな、と確信する。(P.491)あと、こんな最中に bin Ladinとも戦ってたのね。

そんなこんなですったもんだがありましたが何とかもとのサヤに治まり、そしてHillaryは自身の上院選へ。住んだこともないNYCからの、アーカンソー人の出馬。アラブ系ニューヨーカーの肩を持てばユダヤ系ニューヨーカーが怒りだす始末で、NYCっていう一都市にもかかわらず、国際外交問題のような複雑なアメリカが抱える問題をなんとも痛感するのでした(P.510)。選挙活動で地道に回るにつれ、ニューヨーカーたちの関心は、Hillaryが何処からきたか、よりもむしろ、何処に向かっていくのか、にシフトしていった(P.511)そしてハードワークが報われ(Hard work paid off)晴れて、NYCを代表し新しい国家の役割を担う上院議員に選ばれた。

結局、GoreもBushに破れ、いよいよBillは政権を降りることになり、White Houseでのサヨナラパーティの日、バンドが演奏したのは "Don't Stop Thinking About Tomorrow" って曲。これはクリーシェに違いないけど、自分の政治観と似てる、"It's always about the future." と似てるとHillaryは感じる。そして8年間過ごしたWhite Houseにサヨナラを告げるのでした。おしまい。

...最後に、この本は今年の夏の発売直後にJohnnyから頂いて、なんとかお礼に感想を添えて伝えたかったのだけれど、こんなにも遅くなってしまったので言い訳しておきます。種明かしをすると、総562ページにわたるハードカバーの本、どうにか根性で読み通せたのは、Audio Tapeが(別売)ペースメーカーになってくれたから。Audio Tapeは(これまたJohnnyに頂いたのですが)だいたい1本100分程度でしょうか。4本あるので、つまり極論すると400分あれば完読できる。私はこのAudio Tapeとハードカバーの併用で、読むペースを上げたり、シャドウイングしたり、寝入りばなに子守唄として流したりとしました。こうして目と耳と口をフル稼働させ、読書感想文を簡単だけど書き上げたのは23日の日本語版発売日直前の、空気がキーンと張り詰めて突き抜けるような青空の、休日の午前でした。(@でも仕事中)

Posted by riko at 2003年12月20日 10:32 | TrackBack
Comments

いや~驚き! 本当に読破しちゃうとはたいしたモノです。僕自身まだ読み終わってないのに・・・。次はYSモノにしようかな・・・。

Posted by: Johnny on 2003年12月22日 10:41

そんなJohnnyさん@本場NYのためにHEALTH CARE(P.143)はおいてあるから!ちなみに日本ではAERA今週号の表紙がHillary。ドタ出(締め切り直前土壇場で出馬)か2008年かって記事です。ありがとう!

Posted by: riko on 2003年12月30日 12:45
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